Seven's Room



フレイザーコンパクト(FC−4)試乗記


フレイザーコンパクト FC−4  2001年8月26日、ニュージーランド製セブンのフレイザーを販売するゴールドオートからコンパクトモデル・FC−4が発売されました。これは660cc・ターボエンジンを搭載した軽規格のセブンです!

 このモデルの試乗会が9月23・24日の両日に、長野県北部の野尻湖畔にて市川モータース主催で行われました。ちょうどバーキンで北陸・能登半島遠征中だった私は、八戸に帰る途中にちょっと寄り道をしてこの試乗会に参加してきました。

 東北人として初めて? FC−4に試乗した私が、その詳細と実際に試乗した印象を報告します。



リヤビュー  フレイザーコンパクト(以下FC−4)といわゆる普通の?セブンと比較した場合、もっとも違いを感じるのがリヤから見た眺めです。車両寸法を軽規格(全幅:1480o)に合わせるためロータスSr.2の様な細めのリヤフェンダーを採用しています。

 試乗会にはケーターハム・バーキン・フレイザーといった数多くのセブンが集まったのでその車幅の違いが際立ちましたが、FC−4単独で見ているとすぐに違和感が無くなってきました(^^)。このスタイルもなかなか良いと思います。

 リヤフェンダーの拡大写真はこちらをご覧ください。



ベンチシート  乗り込もうとしてまず驚いたのが室内スペースの広さです。そもそもセブンは車体からサスペンションアームを伸ばしてタイヤが外に張り出しているために車幅が普通車になってるわけですから、これをちょっと抑えてやれば室内寸法を犠牲にすることなく軽サイズに出来るわけなんですね。

 標準装備されているベンチシートも、ゆったりと座れる広さを確保するのに役立っています。これだと180p・90s級の人でも楽勝ではないでしょうか?(^^)。これは予想外の広さでした。助手席に座る女の子が全然余裕なのが分かると思います。

 ベンチシートは、長距離を走る人には特に向いてると思います。試乗した印象では、公道をある程度のペースで走ってもさほど問題ないと思います。


室内全景
 元々クオリティーの高さには定評のあるフレイザーですが、それはコンパクトモデルにもきちんと踏襲されていました。センタートンネルのカーペットにしてもインパネ回りにしてもキッチリと作りこまれていました。

 メーターは中央にタコメーターを配置し、それを挟んで左に速度計、右に水温・燃料計が並びます。速度計の左にはウォッシャーとハザードスイッチが並び、水温計の右にはワイパーとライトのスイッチが配置されています。ウィンカースイッチはステアリングの右側です。サイドブレーキのレバーは試乗時に助手席の方が解除してくれたので、助手席側にあるのでしょう(^^)。


 私は試乗しているときにタコメーターは見てましたが速度計は見ませんでした(^^;;;)。これは視認性の問題というよりも単に慣れの問題でしょう。速度計自体はバーキン標準のメーターよりも大きく、140km/hスケールでした。ちなみに私のビートは140km/hでリミッターが作動しますが、FC−4にはリミッターは装備されているのでしょうか?


660ccターボエンジン  エンジンは直列3気筒・660ccターボチャージャー付きです。もちろんインジェクション仕様です。写真の左下にある筒状の物がエアフィルターです。エンジンがオールアルミ製なのかそれともブロックが鉄なのかは分かりませんが、いずれにしてもKENTに比べたら遙かに軽量なエンジンであることは間違いありません。

 パワー&トルクに関して正式な発表はありませんでしたが、国産の軽自動車(ターボ付き)が軒並み64ps・10kgmを出していることを考えるとそれ以下という事はまず無いでしょう。FC−4を走らせるには十分です。ちなみに試乗したモデルはオプション装備の為に若干重くなっていますが、それでも500sは下回っているとのことでした。私のビートが760sな事を考えると、300s近くも軽いことになります(泣)。


リヤタイヤ  キーを捻ると何のストレスもなくエンジンが始動。アイドリングも安定しています。さすがはインジェクションですね(^^;;;)。シフトパターンは通常の国産車と同じで右手前がバックギアになります。思ったよりストロークの短いクラッチを踏み(3S搭載モデルよりもずっと軽いです)、エンストしないようにゆっくりとスタート。

 走り出してすぐに驚いたのが乗り心地と路面追随性の良さです。これは4輪独立サスペンションによる効果です。足がしっかりと動いて衝撃を吸収してくれます。失礼してわざと荒れた路肩部分や段差・穴の開いた箇所を通過してみましたが、乗員が跳ね上がることは全くありませんでした。またリジットモデルなら確実にジャンプしてしまうようなギャップも、FC−4はタイヤがしっかり路面を捉え続けるのでアクセルを戻す必要がありませんでした。これには感心です。


フロント回り  フロントのアーム類も通常モデルより若干短いように感じますが、走ってみると全く問題ありません。軽規格なのに私のバーキンと同じ185−60−14サイズのタイヤを履いているので、ちょっとやそっとで姿勢を崩すことはないでしょう。

 エンジンはターボモデルらしく、アクセルを戻すと‘プシュー’っと音をさせます。これがまた気分を盛り上げてくれます(^^)。さすがに試乗会なので最高速チャレンジは出来ませんでしたが、40〜80km/hあたりの加速はトルクがあって満足いく加速をしてくれます。660cc+ターボということで更なるパワーアップを考える人もいるでしょうが、そうすると怖くて踏めないかもしれません。今のパワーでも十分KENT搭載モデルを追い回すことは可能です。足回りの良さもあってアクセルをガンガン踏んでいけるから、シチュエーションによってはKENTを引き離すことも十分に可能な性能を持っていると思います。

 エキゾーストはエンジンルーム内で1本化され、ボディー左サイドを細長く伸びています。遮熱板に覆われてハッキリとは見えませんが、ちゃんと触媒も装備されています。マフラーの拡大写真はこちらをご覧ください。


 大阪から長野まで自走してきたFC−4ですが、高速をハイペースで走ってもリッター16Kmの燃費を記録したそうです。街乗りなら20qは楽勝とのこと。プリウス並の燃費なのね(^^)。ビートだってこんなに燃費は良くないぞ〜。
 燃費が良い上に自動車税や保険料などの維持費も安い。これは趣味車として非常に魅力的ですね。


 軽規格のセブンということで入門用と考える人も多いでしょう。たしかにFC−4にしばらく乗ってから3Sエンジンを搭載したフレイザーやケータなどに乗り換えるのも良いでしょう。しかしFC−4は他のセブンとは全く違うジャンルに存在していると思います。ビートもそうですが、FC−4もある意味で完結している部分があります。これ1台をずっと長く乗り続ける・・・そういう使い方も十分有りだと思います。
 三隅社長は「足回りをもうちょっと煮詰めたい・・」と言ってましたが、あまりに完成度を上げちゃうとユーザーが弄って楽しむ部分が減っちゃいますから、その辺は適当なところで妥協してほしいですね(^^)。

 軽だから街乗り用と考えるのも早合点でしょう。事実、三隅社長と試乗後に話していたら「ぜひFC−4でのワンメイクレースを実現したい」と語ってくれました。なるほど、自宅から自走してそのままレースを走り、また帰ってくる。そんな車両を維持していくのも経済的に楽チン。これが実現したらFormula−Keiなんか目じゃないって感じになりますね。三隅社長と会うのは1年半振りでしたが、フレイザーに対する情熱はますます高まってる様子でした。


 私の様に路面状況の悪い北国に住み、長距離移動もするセブン乗りにとってはこのFC−4はとっても魅力的に見えます。マジで欲しいなぁと思いました。しばらくは悩める日々が続きそうです・・(^^;;;)。



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